平々凡々

ぶたの絵や文章をかく人です。

片手に収まる水の量はおおよそ40mlらしい



また最近忙しくなってきた。やらなきゃいけないこと、考えなくてはいけないことが山積みのようにある。ありがたいことだ。

やりたいことも描きたいこともたくさんある。

大切な人との会話も忘れるぐらいに、あなたに送るはずだったメッセージを送り忘れてしまうぐらいに。

 

最近嬉しいことがあった。連載の原稿で「かく」という漢字をどう変換しようか迷ったときだ。

果たして「書く」でいいのか、やはり漫画家という肩書きにしてもらっているぐらいだから「描く」にしたほうがいいのではないか。

でも連載は文章がメインだ、「書く」が正しいのかもしれない。

でも、やっぱり私にとって「かく」は「描く」の意味合いが強いし、「描く」人でありたいと思っている。

堂々巡りを繰り返し、そうは言っても〆切も過ぎている原稿だ、結局「かく」とひらがなのままにして、お茶を濁した。

 

しかし、担当さんから修正が返ってくるとすべて「描く」に変換されていた。そんなことが嬉しかった。自分で首を傾げなら選んだ「描く」よりも相手が直してくれた「描く」がたまらなく嬉しかった。

 

自分で自信を持って「描く」にできなかったことは情けないとは思いつつ。

 

 

 

近頃は自分のペースで色んなことを取捨選択できるようになってきた。「それは焦りすぎだよ」とブレーキをかけることが大半ではあるが、アクセル全開で毎回大事故していた時よりは幾分心の状態もよい。

漫画や文章に割く時間もここ1ヶ月で俄然増えている。

 

そのために手放したものはあるが。

悲しいことに私にはこの片手に収まることしか向き合うことはできない。もう片方の手は自分が転んだ時のために開けておかなくてはならない。

両手いっぱいに抱えて、結局抱えきれず、全部落としてしまうようなことは、落としてしまったもののせいにするようなことは、したくない。

 

私が手放したものが、どこかで別の誰かの手元で温められたらいいと勝手に願いながら、今日もデジタルの画面と向き合う。